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タグを分けるためにふたつめです、こんばんは。
◆花瓶の村の家族の小話(6)はつづきから。

楽器を調整に出さないと! と気がつきました。
あまり吹かなくなってから、2年?出してない気がする《゚Д゚》なんてこと!

ごめんねフルートちゃん《生涯の伴侶》!



◆花瓶の村の家族の小話(6)

 お母さんは優しいけどたまにうるさい。そう感じでいた10代前半。
 お母さんはすごい。漠然とそう思い始めた10代後半。

 お菓子作りがとても上手で憧れる。時々、妙に細かいところを気にするのが、玉に瑕。だけど、全体的にはこんな母親になれたらいいな、と、ちょっと具体的に思った20代。

 

 帰ると、紅茶のケーキを焼いてくれていた。母さんは、父さんが帰ってくるのが分かる。小さい頃はそれが当たり前だったけれど、今では、それがとても特別なことだと知っている。
 父さんと母さんは、《共有》魔法を上手な加減で、ほとんどずっと使っている。そんな人を、私は両親以外に知らない。

 美味しいな、と思って、じんわり幸せだなと思うと、最近は、「いつかこの時間も、なくなるんだな」という思いがふと浮かんでくる。


 小さい頃、エルフとヒューマンの違いなんて、耳の形だけだった。少し大きくなってから、エルフとヒューマンでは生きる時間が違うのだと分かった。
 父さんと母さんはどうして結婚したの? と、直接聞くことはなかったけれど、思っていた。
 何かの折に、それに近いことを母さんに言った。多分母さんは、いつかそう訊かれると分かっていたのだと思う。
 たしか、すごく当たり前の答えだった。なんだか納得した記憶がある。ただ、「好きだから」とか「一緒にいたいから」という当たり前の言葉ではなくて…忘れてしまった。
 それから…細かいことは忘れたけれど、印象に残ったことがある。私は尋ねた。要は、エルフとヒューマンだったらヒューマンのほうが先に死んじゃうだろうけど、それが嫌ではないのか? ということだったはずだ。
 そしたら、聞き返された。

「私とお父さんが、不幸に見えた?」

 そんなことはないと、私は首を大きく横に振って否定した。
 そして感じた――だから、結婚したし、一緒にいるんだ。
 それ以上何も聞かなかった。質問が浮かんでこなかった。幼心に、種族を理由にいろんな疑問をもつのは見当違いのことだったと、言葉にはできないものの感じていたと思う。

 
 冒険者なんてやっていると、種族というのは、魔法の得手不得手や能力の違いのことだ。寿命など、戦いの中では関係ない。
 結局、天寿を全うする人なんて、とても少ない。もちろんエルフのほうが長く生きることが多い。
 それに寿命が長くても、環境の変化はある。


 いつか、この時間もなくなるんだな。
 良くも、悪くも、変わっていくんだ。

 それが寂しかった頃もあった。今も少し寂しいときがある。

 だけど私はこのケーキの味を、母さんから受け継いで、今度は誰かに振る舞える。紅茶のケーキと、クッキーは、受け継いだ。全部は難しい。

「美味しいね!」
 笑い合えた時、食べた人も作った人も、暖かい気持ちになる。

 いつか、与えた相手が、今度は私に与えてくれる。
 その誰かの種族や年齢は関係ないんだ。
 ただ、美味しいねと、笑ってくれる人。

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