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こんばんは。

生きてます、どころか、毎日、ゲームしたり本読んだり好きな場所を散歩したり、かなり楽しいです。もともと出不精な私です。

じわじわぁ…と書いていますが、正直に申し上げます、

ゲームが超楽しいです。

大好きなゲームがHDで映像綺麗になったり音楽総リメイクされていたりして、とても嬉しいです。アニメ化決まったりね。
そういったゲームをしていると自然と一次が進んだりして。でも推敲は出来てないし、少しずつなので、なかなか…アップには至らずです。
待っていてくださっている方には申し訳ないです。

あとは、そうですね、
FaO本版の文章、少しずつ、サイトにも反映させようか悩んでます。



ところで、不意にずうっと前に書いてあった短編を、どこにもアップしていないことに気が付きました。ので、以下に上げときます!
ややホラーです。



覗いて下さってありがとうございます!
元気に過ごしましょ(*´ω`*)



◆おとうさん と こどものおばけ



 こどものおばけだ。
 アリアはそう思った。
 お父さんと、こどものおばけが、じいっと、話している。

 アリアが9歳の時だった。
 その日はお父さんが夕方ごろに帰ってくるというので、お母さんを手伝った後、夕暮れの街を速足で迎えに行った。近所の人のおうちの前をいくつも過ぎて行く道で、それでもお父さんとお母さんの特製のおまもりを、いつも身に着けて行くようにしていた。
 悪魔や魔物を恐れすぎることはないけれど、油断してはいけないと、冒険者のふたりからよくよく言われて育っていた。
 空には紫色が混じって、空色は薄くなって、青い、暗い、夜の色が星と一緒に降りてきていた。
 村の門から出なければ、魔物に遭遇することはない。村の周りだって、魔物避けがあるから、離れなければ、ほとんど大丈夫らしい。
 それでも外は危ないと知っていた。村の中だって、ひょっとすると、強い魔物や悪魔は、入ってくることがある。2年前の、お城の事件を、アリアは知っていた。一番強い守りをもつはずのお城の中に、悪魔がいた事件だ。お父さんもお母さんも、あの戦いの中にいた。
 村の外にひとりで、こどもだけで出てはいけません。
 アリアはそう教わった。
 門の近くまで来て、外を見ると、お父さんがいるのが見えた。そのころのアリアはよくわかっていなかったが、門、と呼ばれる、木を組んだ四角い枠には、物理的な妨げは無いが、魔法が施されている。魔法や、魔物、悪魔を遮るが、視覚は遮らない。
そういうわけで、アリアには、門の外のお父さんの様子がよく見えた。アリアは首を傾げた。
 近くに子供がいた。ひとり。
 手の届かない距離で、じ、と立っている。お父さんはその子を振り返っている。こちらに背を向けている。
「おとうさん」
 夜のとばりが、冷たさを伴った。アリアの中に何か、嫌な緊張が生まれた。
 門の見張りさんはどうしたのだろう。村魔法使いさんが門を“閉じる”からって、どこかへ離れているのだろうか。外に出る人もいないこの時間、人の気配は少ない。
「おとうさ……」
 アリアはぞっとして口をつぐんだ。おとうさん、という自分の声と同じように、外の子供の口が動いたのだった。どこの子だろう、やわらかい茶色の髪の、緑色の瞳の……少し、アリアと似た、でも多分5歳くらいの子。暗くなり始めた道、傍の木の陰に、妙な白い存在感をもっている。
 こどものおばけだ。
 アリアはわかった。
 こどものおばけが、私のお父さんを取ろうとしている。
 すうっ、とアリアは息を吸った。
「おとうさんっ! おかえり! おかあさん待ってるよ! 迎えに来たよ!」
 叫んで、こどものおばけを、きっ、とにらんだ。おばけは、ゆらっと、一歩後ずさる。
 門のぎりぎりまでアリアは詰め寄った。
「アリア、」
 お父さんが呼ぶ。アリアは、ほっ、とお父さんの背中を見た。
「今から帰るから、そこで待っているんだよ、いいね」
「うん!」
 お父さんは魔法使いだ。古代語、という、魔法を唱える時に一番強く効果をもたらせる言葉をたくさん知っている。
 その古代語でお父さんは、こどもおばけに、何か話しかけた。するとこどもおばけは、黒くにじんだ。だんだんすすり泣いて、夜より暗くにじみ始めて、代わりに肌はもっと白くなった。うぅ~、と心をかきむしるような泣き声に、アリアは硬直し、凝視していた。
 お父さんは、話しかけた言葉の柔らかさのまんまで、手をかざした。マナがごうっと動いて集まって、金色の炎に変わった。それは、おばけこどもを包み込んで……綺麗だが眩しくて、アリアは目をつむった。瞼の裏が暗くなって、それでもあのすすり泣くおばけがいたらどうしよう。おばけだから、火でもだめかもしれない。
しばらくして、こわごわ目を開ける。
お父さんが門をくぐるところだった。
「アリア、ただいま」
 駆け寄って、おかえり、と、久しぶりに抱き着いた。お父さんの手が暖かかった。



 キキーモーラ、という魔物だったそうだ。こどもの姿で現れる。何が強いというわけでもない。ただ、誘われると、戻れないと言われている。

 あの時、私が呼ばなかったら、お父さんは、……。

 旅医者になっても時々、夢に見る。寂しい時に見るんだ。すすり泣く声は、帰る場所を探している。夢の中で、怖いとは思わない。ただただ、隙間風みたいに冷たく、私の心と同じ温度で混じる。
 連れていかれる人のことが分かる。私は……。

 私はだから、私の帰る場所を思う。時々理由も無く帰る。いつまでそうしていられるだろう、って、声は、今は、見て見ぬふりをして。

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