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えーっと二次創作です。

こちらにアップするシリーズはせいぜい1~3時間以内くらい(アップ時間含む)でやったものです。※この文字数&アップにしても、大した時間ではないのです。ノリで楽しくやってるので。

pixiv.にのみアップしてるやつに時間かけめでやってるのです。宣言通りとっとと二次創作完結させようと。


ともかくアップ~ヽ(´▽`)/



 刀剣乱舞二次創作です。
 今回、同田貫出ません。
 イベント「聚落第」を知らない人にとってはネタバレになります。
 もう公式発表ありましたから書きますが、聚落第での新刀剣男士「山姥切長義」との回想のネタバレが少々あります(長義&山姥切国広(通常)、長義&南泉一文字 のやつです。)
 山姥切国広は極めてません。
 酒によるキャラ崩壊注意。

@ それ に相応しく
(山姥切長義・山姥切国広・歌仙・南泉・次郎太刀・蜂須賀・少し前田 ・ 和泉守・堀川)

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「おかえりなさい!」
 どれが誰の声だったのやら。たくさんの迎えの声が、帰還した部隊を包み込んだ。
 聚落第内に入ってから、歌仙兼定の提案もあり部隊は再編成された。終盤を攻略したのは、前田藤四郎、へし切長谷部、薬研藤四郎、秋田藤四郎、小夜左文字、そして山姥切国広という面々だった。
 主と監査官は政府への報告等があり、その場にはいなかった。

 臨時で召集がかかった。出陣で一部の刀剣男士が集められることはあるが、何も催し物がないのに突然全員が集められるのは極稀なことだった。大広間に集まった刀剣男士たちの前に、審神者と、見知らぬ刀剣男士が現れる。
 山姥切長義、と、本科の山姥切は名乗った。
 何振かは山姥切国広を振り返ったり、見比べたりした。
 審神者は特に態度を変えることもなく、このようなことをマイペースに言った。
「監査官としてしっかり任務を果たされた、とても頼りになる方です。皆、長義さんをよろしく。そして、山姥切長義、これからよろしくお願いします。夕飯係さんは、忙しいのに来てくれてありがとう」
 解散になると、早速山姥切長義の周りに何振もが集まって、やいのやいのと話し始めた。
すっと大広間を去った山姥切国広に気がついた刀剣男士は少なくなかっただろう。次郎太刀は「長義くーん、また一緒に飲もう! お酌、したげるからね!」と言葉をとウインクを投げて大広間を後にした。
 夕食当番だった歌仙兼定は、やはり足早に大広間を去っていく、南泉一文字を何気なく捉えている。
「煮干の味噌汁と…鱈の切り身が冷凍してあったかな…」



 山姥切長義が来たと、初期刀の歌仙兼定は主から先に聞いていた。主と話して、大広間に集まる前に山姥切国広にも伝えておいた。監査官が山姥切長義であったと言うと、山姥切国広は、少々動揺した後、そうか、と呟く。
「だから、あんな…」
「監査官殿のあの性格だ、また君に何か言うだろう。…山姥切、君は――」
「歌仙、もう俺を山姥切とは…呼ばないほうがいい…」
「言うと思ったよ」
 笑いもせず、穏やかに、歌仙兼定は続けた。
「君は、国広第一の傑作だ」
「…そうだ」
「そして、主の刀、山姥切国広だ」
「…」
 顔を隠すように布を少し引っ張って俯く山姥切国広の不安が、透けて見えるようだ。
「本科が来たから写しはいらないなんて、我が主が言うと思うかい? まさか君がそんなふうに主を貶めることはしないだろう?」
 やはり図星だったようだ。山姥切国広は布を掴む手にいささか力を込めた。
「…だが…俺は…」
「君は、君だ」
 俺は俺だ、と、山姥切国広は自分に言い聞かせるようにすることがあった。その言葉の通りだ。歌仙兼定は穏やかに続けた。
「これまでこの本丸で共にやってきた、山姥切国広は、君だ。僕たちは主の刀として、この本丸で人の身体で過ごす先達として、長義さんを助けてあげなければね。慣れないうちは、大変だろうから」
「…あ、ああ…そうだな…」
 布から手を離して、いくらか穏やかに山姥切国広は頷いた。
「無理はしなくていい。心はままならぬものだ。君は、君であることを誇ればいい。主も、僕たちもいるから、頼ってくれ」


 山姥切長義は、おとなしく穏やかな物腰と口調だった。大広間で彼を取り巻いた刀剣男士たちは、もちろん皆どこかで山姥切国広とうまくやれるのか心配していたが、ほとんどが、大丈夫そうだと思ったほどだ。
 ところが、歌仙兼定の…というか少なくはない刀剣男士たちの予想通り、山姥切長義は、山姥切国広に第一声「偽物」と呼びかけ、そして南泉一文字を「猫殺し」と呼び喧嘩をした。
 

「山姥切ってのは、こうもひねくれるもんなのかい?」
 山姥切国広と酒を酌み交わしながら、次郎太刀はそんなことをさらっと問いかけた。何振かで、酒とつまみを並べたテーブルを囲んでいる。少人数での飲み会は、皆それぞれでよくやっている。
「あんたらふたりともいい子なのにねえ。どうして二人でいると、ぶつかっちゃうんだろうねえ。あんたも、あいつも、違う刀なのに」
 同席していた歌仙兼定はその言い方に少し笑いそうになってしまった。なにしろ、蜂須賀虎徹も同席しているのだ。目の端で、蜂須賀虎徹がコップを持つ手を固くしたのが見えた。次郎太刀がそれを意図しているかは分からないが。
「けっ、化物斬ったから呪われて、心が化物になっちまったんだ、にゃ」
「あんたもいきなり嫌な言い方されたってねえ」
「猫殺し、だとよ。斬った物の格の違いがどーたらこーたら、うるせえにゃ! 俺は主の刀だ、ここでの俺のことを知らねえあいつに言われる筋合いはにゃい!」
「おっ! よく言った!」
 次郎太刀が南泉一文字にお酌する、それは牛乳だ。南泉一文字は、和泉守兼定に次ぐ第二の下戸だった。
「会うなり“偽物〝なんて言われたら、誰だって傷ついちゃうよねえ。はい」
 はい、と次郎太刀は山姥切国広に酒を注いだ。ほろ酔い程度の山姥切国広は、無口になる。普段にも増して、無口になる。ただ話を聞きながら、時折頷いていた。この段階を過ぎると爆発するのだが、今は、大きく頷いただけだった。
「俺は…偽物なんかじゃない…」
 ぽそりと言うが、いつもよりどこか弱々しい。
「国広の…傑作…。…偽物なんかじゃ、ない…だろう???」
 酒のせいか、別の原因のせいか、問いかけて顔を上げた山姥切国広の目が潤んでいる。あまりに珍しい現象に、一瞬目を見張った――なぜか酔っ払っている様な南泉一文字以外。
「山姥切ぃ! 俺もお前も主の刀だ、あんなやつの言うことなんか関係ない、にゃ!」
 なんで酔ってるんだ、と、あまり酔いが回っていない三振は思う。次郎太刀は注いだ牛乳に目をやったし、歌仙兼定は南泉一文字が手に持ったコップに目をやって、蜂須賀虎徹はテーブル上のコップに目を走らせる。
「南泉、それは山姥切のだ」
 歌仙兼定がいち早く告げるが、酔っ払った南泉一文字には届かない。山姥切国広も山姥切国広で、「そうだ…そうだよな…」とぶつぶつ言いながら牛乳をちびちび飲み始めた。いつ入れ替わった。
山姥切ぃ、と再び南泉一文字。酔っ払った勢いで、喧嘩腰だ。
「お前はどうするんだ!? 俺は呪いを解いてやる、にゃ! お前は、お前の呪いをどうするんだぁ!?」
「なんのことだ…」
「お前のそのひねくれちまったところだよ、そんなとこ写すなよ、お前は主の刀だろぉ、にゃー!」
 掴みかからんばかりに南泉一文字が山姥切国広に詰め寄った。すると山姥切国広は、釣られたのかなんなのか、声を荒らげた。
「…お前も主の刀だろぉ!」
 なぜキレた…疑問符と感嘆符を頭に浮かべて、三振は瞬く間に展開する謎の喧嘩(?)を見守るしかなかった。
「お前だって主の刀だろぉにゃー!」
「そうだって言ってるだろぉ! お前もだろぉ!?」
「あぁあそうだよ、俺も主の刀だにゃ! 名刀、南泉一文字であり、主の刀だ、にゃーッ!」
「俺も主の刀だ! 国広第一の傑作、山姥切国広とは俺のことだー!」
「傑作じゃねえか、山姥切ぃ、お前は主の刀、すげえ刀じゃねえか、にゃー!」
「主の刀だ、俺は、傑作で、主の刀だ…! お前だってすごい刀なんだぞ、南泉」
「そうだろ、そうなんだ、俺たちはすげえんだ、にゃ」
 南泉一文字がコップを掲げて、山姥切国広がかちん、とコップを当てた。
 横で予備のコップに牛乳を注いで構えていた次郎太刀が、はいはい、と言いながらさっさと南泉一文字のコップを持ち替えさせた。
 主の優秀な刀、2振が戦線崩壊した。
「あらら?」
 次郎太刀が再び牛乳パックの表示を確認した。紛う事なき牛乳だった。

 すっかり熟睡している2振に毛布をかけて、飲み会は続く。
「偽物、か…」
 蜂須賀虎徹は、呟いて、水面から深く深く底を見通そうとするように、じっと考えに耽った。
「俺は、彼が偽物だと思ったことはない。山姥切国広は、国広の傑作じゃないか。何も偽ってなどいない。…山姥切長義は、そう思うことが出来ないらしい。…刀匠は違うが、号が同じ、か…」
 ふと、奇妙なたとえを思いつく。
「もし、蜂須賀…国広がいたとしたら、俺も同じことを思うのかもしれない。そいつが傑作と呼ばれていたら…”山姥切”という文字ではなく、そこに込められた自身の名前、物語をもって…そうしたら、同じような気持ちに…」
「…どうかねえ。もし、あたしが、あたしの写しとお酌し合えたら、楽しいだろうと思うけどね」
「僕は…どうかな…お互い、見定めようとするかもしれない。やがては、切磋琢磨し合える仲になるだろう。主の一番の刀であることについては相容れないだろうが、初期刀である僕の勝ちかな」
 ふ、と不敵な笑みで歌仙兼定。
 いずれも大変な騒ぎになりそうだ、と、蜂須賀虎徹は笑った。
「長義さんにも、譲れないところがあるんだろう。…今は同じ主に仕える刀だとしても…」
 歌仙兼定は頷いた。
「心とは、ままならないね」
「…そうだね」
次郎太刀が優しく微笑んだ。
「みーんな、いい子なのは、分かってるんだけどね」
 ふ、と蜂須賀虎徹が笑った。

***

「ここに来たからには、大丈夫だよ。主は君を、山姥切長義を、存分に振るうだろう」
 初期刀、歌仙兼定はふうわりとした笑顔で山姥切長義を迎えた。主と話して、そして部屋を割り当てられて案内される時のことだ。
 長義さん、と、ごく自然に彼を呼んだのは、一緒にいた前田藤四郎だ。
「聚落第では大変お世話になりました! 共に戦えるなんて、光栄です! どうぞよろしくお願い致します!」

 あの偽物が山姥切と呼ばれるのは、気に入らない。ずっとそう呼ばれてきたから変えにくいというのは分かるし、国広、と呼ぶと堀川国広を指してしまうというのも分かる。切国、という呼び方は、ここではまったく定着しなかったらしい。
 ここのものたちに長義さんと呼ばれるのは、…悪くない。
 悪くない…それは紛う事なく自分を指していたから。
 ただ…まだ…。

 廊下の先から和泉守兼定の声がする。
「お、山姥切。歌仙が探してたぜ。洗濯じゃねえかな」
「何? …まだ二週間だぞ…」
「二週間も着てんのかよ」
 しばしの間。
「な、なんだ…うわぁっ!?」
「国広ぉ!」
「いいよ、兼さん!」
「せーのぉ!」
「や、やめろっ!」
「あっ、くそ、追うぞ!」
 山姥切長義は、すっ、と近くの部屋へ身を隠した。
 逃亡者の足音がする。あろうことかその部屋を開けて、転がり込んできた。
 息を整えながら、そっと外を伺う。ふたり分の気配が部屋の前を通り過ぎた。ほ、と息をついた山姥切国広だったが。
「何をやっている、情けない」
「っ…!? や、山姥切…!?」
 びくりとしてようやく気がついた山姥切国広。じっと刺すような山姥切長義の視線を受け止めていられずに、俯いた。
「…すまない、邪魔したな」
「無様だな、偽物くん。そんな薄汚い布を被って。なぜお前が山姥切と呼ばれるのかな」
「…」
「お前には相応しくない」
 否定も肯定も、山姥切国広には出来ない。ただ俯いて、布に隠れる。
「ここだっ!」
 スパーン! 
 堀川国広の声。和泉守兼定が襖を勢いよく開ける。山姥切国広は慌てて飛び退った。
 観念しろ山姥切、と迫る和泉守兼定。堀川国広は山姥切長義に気がついて、いい笑顔で言った。
「あ、長義さん! 丁度よかった、歌仙さんを呼んでもらえませんか? 多分、今、一回目の洗濯が終わって干してるところだと思うんですけど。あの布、洗濯したくて」
「…あの薄汚い布かな」
「そうです!」
 身も蓋もない、嫌味でもない、故に鋭い肯定だった。
 そんなやりとりの最中、山姥切国広が薄汚い布をなびかせて、和泉守兼定の脇を鮮やかに抜いて逃亡した。
「チッ、行くぞ国広!」
「任せてよ兼さん!」
 駆け出す前に、和泉守兼定が山姥切長義を振り返った。とても楽しそうだ。
「頼むぜ長義! 歌仙が来れば四対一、ぜってぇ逃がさねえ!」
 おい、と言う山姥切長義の声が届く前に、2振は追跡を開始した。
「まったく…ま、戦況報告くらいはしてやるかな…」


 ――…まだ、無理だ。



◆洗濯してもらおうね。
(さてさて。何が、相応しくないのでしょうねえ)

(監査官殿は、多少なりとも、期待をしてしまうのだと思うのです。だから失望する。

代さんとこの山姥切は、修行はまだです。よって極になってから出会ったver.の会話はありません。

山姥切国広Lv96、和泉守兼定(極)Lv36、堀川国広(極)Lv36、山姥切長義Lv40、歌仙兼定(極)Lv38 他 でお送りしました)
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