◆兼さんは選ばない。（BadEnd版）

実はこのBadendルートの会話に、書いていたら一回目で突入してしまったんです。事故った。

書くの途中でやめましたがここで供養。

前半は（１）と同じですので、載せません。
以下、（２）部分からスタートです。

◆兼さんは選ばない。（BadEnd版）
BADEND分岐：堀川国広が極度に一途というか盲目でとにかく土方さんを助けたい。そして歌仙の言ったことに既に思い至っていた。それにも関わらずこの和室で考え込んでおり、このやりとりが発生した場合。

　風がそよぐ。優しく部屋の中を回る。
　歌仙兼定はふっと笑った。
「こういうことを、主とたくさん話したんだよ。小難しいことをたくさん考える人だ。主も計算ごとは苦手だろうに」
「…僕も…主さんと話したんです。昨日」
　函館出陣の、後だろう。
「僕は…兼さんを守りたい。…土方さんも…守りたかった。もしあの時、土方さんを守れていたら…もし、今…昨日の出陣でも、僕が土方さんを守っていたら…なんて」
　冗談であると示すように、堀川国広は小さく笑んだ。少なくとも今すぐ何かするつもりはないという意思表示に思われた。
「…でもそれは…遺された僕が思っていることなんだ。本当に土方さんは、あれで良かったのか、僕には分からない…でも僕は、生きていて欲しかった。守りたかった」
　歌仙さん、と呼んだ声は、途方にくれていた。
「あの時生き延びて、そして、少しでも幸せになってほしいと思ってしまうのは…僕が勝手に思っていることで、守ることとは違うのかな。
　侍の時代は、もう、終わっていた。土方さんが生き延びても、…ひっそり生きてくれれば…歴史に大きな変化はないんじゃないのかな。
　兼さんも…土方さんに幸せになって欲しかったはず」
　半ば独白のような堀川国広の訴えに、歌仙兼定は頷いた。
「君が守って、土方歳三が生き長らえて、別の歴史を歩む。それが今の歴史よりも幸せかどうかは分からないが、君は土方歳三を守ることができるだろう。
　そして土方歳三は、ひっそりと生きて、別の死に方をするだろう」
　堀川国広の瞳が揺れた。分かっている、それでも改めて誰かの言葉として聞くと、心は揺れた。ひっそりと生きる、それが果たして土方歳三の意思に沿うのだろうか。そして、人間は死ぬ。刀に比べれば本当にあっけなく、一瞬で。戦でなくても、いつかは寿命で。
　歌仙兼定の言葉は続いた。
「それが果たして函館での最期よりも良いものか悪いものかは分からない。良いか悪いかは、君の判断だ。君は、最高だと思える最期を迎えさせるまで、土方歳三を生き長らえさせ、歴史を作るだろう」
　堀川国広は、もう動揺しなかった。それどころか、微笑んだ。どこか寂しそうに。
「…やっぱり、そうなっちゃいますかね」
　歌仙兼定の表情が凍った。
「…君が本当にそうするつもりなら」
「完全に、僕のエゴですね。分かっています。それでも…だとしたら、今、僕を斬りますか？」
「…斬らねばなるまい。でも言っておくよ。僕は、君を斬りたくない。堀川」
　堀川国広と歌仙兼定、しばし結ばれていた二振の視線を、堀川国広が逸らして解いた。
「兼さんと、話してみます」
「堀川」
　立ち上がった堀川国広を、歌仙兼定の言葉が追いかけた。
「人々は選ぶ。後悔もする。しかし自らの意思で未来を、歴史を、作り上げ積み重ねていく。僕はそれを守りたい。人々が自らの心に従い選んできた歴史を、今を。悲しみも、喜びも、選び取ったこと、出会ったこと、全てを。なかったことになんて、したくない。させない」
　堀川国広は、応えなかった。
　――斬らねばなるまい。
　――まだ分からない。和泉守なら、止めてくれるかも知れない。
　歌仙兼定は、動けなかった。なまじ可能性があるだけに、抜刀することができなかった。
　堀川国広が去り、無力感に打ちひしがれた歌仙兼定はしかし、はっと思いつく。堀川国広を、和泉守兼定が止められず、本当に行動を起こすのなら。
「主」
　歌仙兼定は急いだ。
　それだけは。それだけは、避けなければならない。
「主…！」



（この後、堀川国広は和泉守兼定には挨拶のために会いに行きます。そして、
　・時超えには審神者の力が必須であり、強制帰還もさせることができる場合→堀川国広が審神者を脅迫→歌仙兼定により討伐　または　刀解　または　出陣後討伐される　または　本丸に軟禁され長期間かけて説得される（代としてはこの方法は好きではないが、審神者なのでやる）
　・時超えには審神者の力と付喪神の同意が必要な場合→堀川国広が審神者を脅迫→歌仙兼定により討伐　または　刀解　または　出陣後討伐される。）